ある一匹の甘エビの悲しき命の物語

旬の甘エビを
買って来たんじゃ！

正式な学名
ホッコクアカエビ

通称甘えび

石川県産の
取れ取れピチピチ

この中の一匹、
よく見ると
腹の所が
青い個体が…。

これは卵…。

悲劇じゃ！
であえ、であえー！！！

ホッコクアカエビは
食用となる
海老の中では
最も水深のある
深海に住む
海老でのー。

夜にはエサを求め
浅いところに
浮いて来るが、
そこで一網打尽に
捕まったものが
哀れかな食卓に
列ぶんじゃ。

生まれ持って
みながオスでの。

厳しい深海で
卵を抱えるには
体が大きくないと
育てられんゆえ
生まれて５年で
オスがメスに
性転換し、
姉さん女房で
卵を抱くんじゃ。

この青い卵を
目一杯抱えた
メスの甘エビは
どおりで他の
個体よりデカイ。

変態するとき
その最中の個体は
間性と呼ばれ、
味が一級じゃと
言われておるが
国産の間性は
高級料亭に
出される代物。

この甘エビは
大きさからして
どうやら
オスから間性に
なりかけとる
一団のようじゃ。

その中に
メスが紛れて
入ってしもた。

一所懸命に
卵を守って
栄養をつけようと
エサを食べに
上がったら
網に捕まって、
もうすぐ産卵という
このタイミングで
夕食のおかずに
なってしもた。

人間はなんと
むごいことを！

非道じゃ…！

鬼か悪魔じゃ！！！

鬼か悪魔のごとき
この甘み★
うまいのー(*`н´*)

人間は
最低の生き物じゃ！！！

最高の甘み★
国産甘エビの
なんと麗しい
味わいぞ(*`н´*)

精神がまともなら
ベジタリアンに
なってしまうほど
母甘エビの
成れの果ては
無惨な姿。

わらわが
心の優しい
宇宙人じゃったら
地球人を根こそぎ
滅亡させて
他の地球生物を
人類の魔の手から
救い出すはず。

おお、神よ。

神ですら
イエスにしろ
ブッダにしろ
人間の形を
しておるゆえ
神ごときは
悪魔と同じ。

地球のリーダーたる
どうしようもない
人類がつくった
虚しき世界

人類を代表して
謝りたい。

母甘エビ、
御免…。

生きる上で
最低限のエサは
他の命を殺しても
食うであろう。
じゃが
今の人類は
ちょとばかし
やり過ぎじゃ。

泣いたり笑ったり
人間しかできんから
他の生物は
悲しくない
楽しくないと
勝手に思い込んでは
片っ端から
ぶち殺して
おかずにしとるが、

そんなわけ
ないであろう。

もし母甘エビに
表情があったら、

と考えると
これは思いの外
厳しい話である。

義務を果たさず
権利だけを
振りかざすとは
宇宙広しといえど
人類は相当
下等な方である。

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